新しくシステムを導入するときに検討しなければいけないのが、
スクラッチやパッケージ、Saasと呼ばれるクラウドサービスの
どれを選ぶべきかという問題です。

運用で
コストカット
したい

業務に合った
システム
構築がしたい

将来性を見越した
構築がしたい
それぞれのサービスがどのようなもので、
何が異なるのかなどを
メリットとデメリット
の情報を集めて
理解することが
システム導入の際の重要なポイントとなります。
-
スクラッチ開発
スクラッチ開発とは、ゼロからソフトウェアを開発する方法です。
既存のソフトウェアやパッケージをベースに開発するのではなく、すべてを自社で設計・開発します。メリット
- 自社の要件やニーズに完全に合致したシステムを構築できる
- 独自の機能を追加できる
- パフォーマンスやセキュリティを最適化できる
デメリット
- 開発に時間とコストがかかる
- 開発の専門知識と技術が必要
スクラッチ開発では、要件定義に基づいて、完全にオリジナルのソフトウェアを構築することができます。
稼働後の要件変更や機能追加にも柔軟に対応できるので、将来のビジネス拡大や変化にも対応しやすい システムを構築することができます。
しかし、要件定義から設計、コーディング、テスト、運用まで、すべての工程を経て開発を行う必要があるので、開発期間とコストがパッケージ開発よりもかかる傾向があります。 -
パッケージ開発
パッケージ開発とは、既存のソフトウェアやパッケージをベースに開発する方法です。
スクラッチ開発とは異なり、基本的な設計や機能は既に完成しており、カスタマイズや追加開発を行うことで、
自社の要件に合致したシステムを構築します。メリット
- 開発にかかる時間とコストを抑えられる
- 開発の専門知識や技術がなくても、ある程度のカスタマイズが可能
- パッケージ開発会社が提供するサポートを受けられる
デメリット
- 自社の要件やニーズに完全に合致しない可能性がある
- 独自の機能を追加するのが難しい
- パフォーマンスやセキュリティが限定される可能性がある
パッケージソフトウェアは、基本的にすぐに利用することができます。
そのため、導入までの期間を短縮することができますし、導入にかかるコストもスクラッチと比較して抑えることができます。
一方でスクラッチと異なり、既存の機能や仕様に準拠したカスタマイズしかできません。そのため、要件変更や機能追加に柔軟に対応できない場合があります。
また、既存の機能や仕様に準拠したカスタマイズしかできないので拡張性がスクラッチよりも限られてしまいます。 -
Saas開発
Saas開発とは、クラウド上で提供されるソフトウェアやサービスを利用する開発方法です。
ユーザーは、インターネットを通じてソフトウェアやサービスを利用するため、サーバーやソフトウェアの運用・保守を自社で行う必要はありません。メリット
- 初期費用を抑えられる
- ソフトウェアやサービスのアップデートが自動で行われるため、常に最新の状態で利用できる
- サービスをベンダーが運用代行しているので自社で運用する必要がない
デメリット
- カスタマイズや追加開発が難しい
- セキュリティやプライバシーへの懸念がある
SaaSは、利用した分だけ課金される従量課金制が一般的です。そのため、初期費用を抑えることができます。
但し、ユーザー数や店舗数などで課金されるケースが多いので、将来的に社員や店舗数が拡大していくような場合は、
ランニングコストが大きくなっていきます。結果的に5年間運用など長いスパンで見た場合にスクラッチ開発と大差のないコストがかかるケースもめずらしくありません。
それぞれの違い
各開発手法のメリット、デメリットを比較すると以下になります。
コスト(開発期間、開発費用、運用保守費用)
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Saas開発
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パッケージ開発
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スクラッチ開発
自社要件への適合
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スクラッチ開発
-
パッケージ開発
-
Saas開発
機能の拡張性(他システムとの連携を含む)
-
スクラッチ開発
-
パッケージ開発
-
Saas開発
スクラッチ開発、パッケージ開発、Saas開発は、いずれもシステム開発の方式の一つですが、
それぞれにメリットとデメリットがあるため、プロジェクトの要件や目的に合わせて、
適切な開発方式を選択することが重要です。
次にどのようなプロジェクトがそれぞれの開発方式にマッチするかを説明します。
スクラッチ開発
スクラッチ開発は、独自性、拡張性、セキュリティ、パフォーマンスの面で優れた方式であるため、 以下のプロジェクトに適しています。
- 自社の要件や業務プロセスが複雑だったりユニークで、既存のシステムでは対応できない場合
- 将来的な拡張性やカスタマイズ性を重視する場合
- セキュリティやパフォーマンスを重視する場合
具体的には、以下のようなものが挙げられます。
- 自社のコア業務を支えるシステム
- 競合他社との差別化を図るシステム
- 新しい技術やトレンドを積極的に取り入れるシステム
パッケージ開発
パッケージ開発は、初期費用や保守費用を抑えることができるなどのメリットがあるため、以下のプロジェクトに適しています。
- 自社の要件やニーズがシンプルで、既存のパッケージで対応できる場合
- 短期間でシステムを導入したい場合
- 保守や運用のコスト削減を重視する場合
具体的には、以下のようなものが挙げられます。
- 一般的な業務を支援するシステム
- 既存のシステムと連携させるシステム
- 短期間で導入して運用を開始したいシステム
Saas開発
Saasは、クラウド上で提供されるソフトウェアを利用する方式であるため、以下のプロジェクトに適しています。
- 初期費用や保守費用を抑え、手軽にシステムを導入したい場合
- 場所やデバイスを問わず、いつでもどこでもシステムを利用したい場合
- システムの運用や保守を外部に委託したい場合
具体的には、以下のようなものが挙げられます。
- 営業支援システム
- 顧客管理システム
- オンラインショップシステム
スクラッチ開発が選ばれる理由
自社固有の業務プロセスや将来的な機能拡張、追加要件に対応する場合は、スクラッチ開発がもっとも適しています。
システムを導入する背景や目的、期待値に応えるのは一から要件を整理して開発することがベストだからです。
一方でコストの問題がありますが、パッケージやSaas導入だとしても長いスパンで比較した時に、
結果的にほぼ同じようなコストになるケースも少なくありません。
例えば以下のようなケースです。
- パッケージの法改正対応で別費用がかかる
- パッケージの年間保守のサービス料
- Saasの月額費用がユーザー数や店舗数で決まるため、その増加とともに毎月のランニングコストがかかる
例えば、スクラッチでシステム開発した場合とSaasのサービスを導入した場合を、
以下のケースで比較すると
在庫管理システムの導入を 検討している場合 |
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スクラッチ開発 | 総開発費用 5000万 稼働後は社内運用の為、運用保守にかかる 外注コスト無し |
Saas サービス |
店舗数ごとに 月額 2万円 課金 店舗数は全国で 50店舗ある |
5年運用した場合の総コストを比較すると
スクラッチ開発は初期開発費用の5000万以降は費用がかかっていませんが、
Saasサービスの場合は
2万×50店舗×60カ月(5年)=6000万と
結果として高くなるようなケースもあります。
逆のケースも当然ありますが、長い運用年数で考えた場合は、
必ずしもコスト面での利点が出るとは限りません。
スクラッチ開発を
ぜひご検討ください。
結果として社内の要望に沿った機能を備えたスクラッチ開発での
システムが満足度の高いケースもあります。
ここまで説明した通り、システム導入の背景や目的に応じて開発方式は
検討することが大事になります。